学芸大学駅から通勤する一人暮らし、家賃を分けているのは「駅からの距離」ではなく番地だった

学芸大学駅から通勤する一人暮らし、家賃を分けているのは「駅からの距離」ではなく番地だった 学芸大学

学芸大学で一人暮らしの部屋を探す人への結論

学芸大学駅の周辺で一人暮らしの部屋を探すなら、町の平均額を並べて比べる前に「番地」を見てください。同じ町の中でも、番地によって実際に契約が成立した1平方メートルあたりの価格が2〜3割ちがう場所が、この駅の徒歩圏に複数あります。

宅建士として実際の契約価格の記録を町別・番地別に集計していて、いちばん驚いたのはここです。学芸大学駅から最も近い目黒区鷹番2丁目は262m、次に近い鷹番3丁目は331m、その次が目黒区五本木3丁目の451mという並びですが、この距離の順番と価格の順番は一致しません。たとえば駅まで587mの鷹番1丁目のワンルームの成約価格は96,600円で、駅により近い262mの鷹番2丁目の84,700円を上回っています。

通勤で毎日その駅を使う人にとって、駅からの距離は確かに重要な条件です。ただし「駅に近いほど順番に価格が上がっていく」という前提で部屋を探すと、実際のデータとは違う地図を持って街を歩くことになります。この記事では、学芸大学駅を使って通勤する単身者を想定して、次の3つを順番に整理します。

  • 学芸大学駅の徒歩圏が、通勤する単身者にとってどういう街なのか
  • 1R・1K・1DKの、実際に契約が成立した価格(募集中の希望額ではありません)
  • 同じ町の中で、どの番地がどれだけ安く決まっているのか

現地に住む宅建士が感じている、学芸大学の暮らしの手触り

学芸大学の徒歩圏は、駅前の商店街の賑わいと、そこから数分歩いた先の静かな住宅地が、はっきり切り替わる街です。通勤で朝晩に駅を往復する単身者にとっては、この「切り替わりの速さ」が住み心地を左右します。

駅の東西南北で性格が分かれます。駅の北東側にあたる目黒区鷹番2丁目(262m)・鷹番3丁目(331m)・鷹番1丁目(587m)は、駅前の生活動線をそのまま延長したような区画で、仕事帰りに買い物を済ませてから帰宅する動きがしやすい範囲です。一方、目黒区五本木3丁目(451m)・五本木2丁目(672m)、目黒区中央町2丁目(480m)・中央町1丁目(578m)のあたりは、駅前の賑わいから一枚離れた住宅地の顔になります。

さらに外側へ出ると、目黒区碑文谷6丁目(684m)、世田谷区下馬6丁目(803m)、世田谷区下馬5丁目(920m)、目黒区中町2丁目(968m)、目黒区目黒本町2丁目(954m)といった町が並びます。この帯は、駅までの道のりが数分伸びる代わりに、住宅地としての落ち着きが増していく範囲です。

価格の動きにも町ごとの差があります。実際の契約価格の推移を見ると、目黒区鷹番3丁目は2021年から2026年までの5年間で+21.8%、目黒区目黒本町2丁目は同じ5年間で+20.9%と上昇が続いています。一方で、目黒区中央町2丁目は同じ5年間で+1.8%、目黒区五本木3丁目は+8.2%と、動きが穏やかです。駅からの距離がほとんど変わらない町どうしでも、この5年間にたどった軌跡は別物だということです。

平日は仕事で家を空け、帰宅後と週末に街を使う——そういう暮らし方をする単身者にとっては、駅前の利便性と住宅地の静けさの両方に、数分の移動で手が届く点がこの街の実感的な価値になります。

現役大家として推せる、学芸大学の単身者向けの強み

学芸大学の強みは、単身者向けの部屋が特定の町に偏らず、駅を中心に複数の方向へ広く分布していることです。1つの町で条件が合わなくても、駅からの距離をほとんど変えずに隣の町へ探索範囲をずらせます。

大家の立場で見て、この街が単身者に対して持っている条件を3つに整理します。

  • 単身者向けの間取りが徒歩圏に散らばっている — 1R・1K・1DKの成約実績は、鷹番・五本木・中央町・碑文谷・中町・目黒本町、さらに世田谷区の下馬側まで広がっています。「この町にしか単身向けが無い」という構造ではありません
  • 複数の駅を使える町が徒歩圏の外周に控えている — 目黒区祐天寺2丁目は学芸大学駅まで1076m、祐天寺駅まで280mという位置にあり、通勤経路の選択肢が二重になります
  • 番地単位で価格差が開いている町がある — 後述するとおり、同じ町の中で1平方メートルあたりの契約価格が2割以上ちがう番地が、この徒歩圏に実在します

3つ目が、この街で部屋を探す単身者にとって最も実務的な意味を持ちます。町を選び直さなくても、町の中で選び直す余地がある、ということだからです。

学芸大学駅周辺の「実際の成約価格」で見る一人暮らしの家賃

以下の金額は、募集中の部屋に付いている希望価格ではなく、実際に契約が成立した価格の平均です。ポータルサイトに並ぶ募集価格は交渉の余地がある「言い値」で、その額で成約するとは限りません。ここで扱うのは、実際に借り手と貸し手の合意が成立した記録です。

学芸大学駅からの距離が近い順に、一人暮らし向けの3間取りを並べます。

町 学芸大学駅まで 1R 1K 1DK
目黒区鷹番2丁目 262m 84,700円 90,900円 102,700円
目黒区鷹番3丁目 331m 83,900円 95,900円 108,100円
目黒区五本木3丁目 451m 79,300円 79,300円 85,300円
目黒区中央町2丁目 480m 74,900円 81,700円 97,200円
目黒区中央町1丁目 578m 78,900円 76,300円 93,600円
目黒区鷹番1丁目 587m 96,600円 90,400円 105,900円
目黒区五本木2丁目 672m 74,500円 77,400円 95,200円
目黒区碑文谷6丁目 684m 81,900円 80,500円 94,000円
世田谷区下馬6丁目 803m 81,200円 88,400円 92,700円
世田谷区下馬5丁目 920m 73,900円 77,600円 84,400円
目黒区目黒本町2丁目 954m 97,100円 81,000円 94,400円
目黒区中町2丁目 968m 79,400円 80,200円 92,800円
目黒区目黒本町1丁目 1089m 65,400円 73,600円 75,000円

この表を上から下へ読むと、距離が伸びるほど金額が下がっていく、という単純な階段にはなっていないことが分かります。駅まで587mの鷹番1丁目の1Rは96,600円、954mの目黒本町2丁目の1Rは97,100円で、どちらも262mの鷹番2丁目の84,700円を上回っています。逆に、920mの下馬5丁目の1Rは73,900円、1089mの目黒本町1丁目の1Rは65,400円です。

番地まで下りると、差はさらに開く

ここからが、町の平均では見えない部分です。同じ町の中で、実際に契約が成立した1平方メートルあたりの価格(真ん中の値)を番地ごとに集計すると、次のような差が出ています。いずれも2022年以降の成約実績で、複数の建物にまたがった記録です。

町 番地 その番地の㎡単価 町の相場 割安率 成約
目黒区目黒本町2丁目 22番地 2,701円/㎡ 4,042円/㎡ 33.2%安い 11件・5棟
世田谷区下馬5丁目 9番地 2,410円/㎡ 3,400円/㎡ 29.1%安い 9件・2棟
目黒区中央町2丁目 23番地 2,814円/㎡ 3,665円/㎡ 23.2%安い 6件・3棟
目黒区中町2丁目 49番地 2,894円/㎡ 3,591円/㎡ 19.4%安い 5件・4棟
世田谷区下馬6丁目 4番地 3,045円/㎡ 3,667円/㎡ 16.9%安い 10件・4棟
目黒区中央町1丁目 15番地 3,075円/㎡ 3,632円/㎡ 15.3%安い 22件・2棟
目黒区五本木3丁目 3番地 3,002円/㎡ 3,500円/㎡ 14.2%安い 6件・2棟
目黒区鷹番3丁目 4番地 3,488円/㎡ 4,007円/㎡ 13.0%安い 11件・3棟

目黒本町2丁目の1Rの町平均は97,100円で、この記事の表の中では上位に位置します。ところが同じ町の22番地に限ると、契約が成立した1平方メートルあたりの価格は2,701円で、町の相場4,042円より33.2%安く決まっています。町の名前だけで候補から外していたら、この番地には一生たどり着けません。

なぜこれらの番地が安く決まっているのか、その構造的な理由はまだ特定できていません。 建物の条件によるものなのか、区画そのものの性格なのか、現時点で断定できる材料がないため、ここでは「事実として番地間にこれだけの差がある」ことだけをお伝えします。理由の掘り下げは今後の課題です。

なお、学芸大学駅に最も近い鷹番2丁目と、その隣の鷹番1丁目、そして目黒区五本木1丁目・五本木2丁目・中町1丁目は、成約実績が1棟に集中しているため、番地ごとの違いとして語れる段階にありません。この点は正直にお伝えしておきます。目黒区碑文谷6丁目・目黒本町1丁目についても、番地単位で提示できるデータは現時点でありません。

少し視点を変えて、「通勤で使う駅」を1つに固定せずに探す

通勤する単身者にとって、探索範囲を広げるいちばん確実な方法は、駅からの距離を伸ばすことではなく「使う駅を1つに固定するのをやめる」ことです。学芸大学駅の徒歩圏の外周には、別の駅にはるかに近い町が控えています。

その前に、なぜ探索範囲を少し広げるだけで選択肢が増えるのか、その仕組みに触れておきます。大手のポータルサイトの絞り込み条件は「徒歩5分以内」「徒歩10分以内」「徒歩15分以内」といった区切りになっています。この区切りを1分でも超えた物件は、多くの人の検索結果から一斉に消えます。物件の中身が何も変わっていなくても、見てもらえる人数だけが急に減る。その結果として価格が抑えられる、という現象が起きます。これは街の良し悪しではなく、検索システムの側の構造です。

その構造を逆手に取るなら、通勤の起点になる駅を複数持つ町が候補になります。

  • 目黒区祐天寺2丁目 — 学芸大学駅まで1076m、祐天寺駅まで280m。1Rは72,900円、1Kは82,500円、1DKは101,900円です。祐天寺駅を主に使いつつ、学芸大学の商店街も生活圏に入ります
  • 世田谷区下馬4丁目 — 学芸大学駅まで1232m。1Rは71,800円、1Kは74,200円。この町の7番地は、契約が成立した1平方メートルあたり2,708円で、町の相場3,270円より17.2%安く決まっています(2022年以降、成約7件・2棟)
  • 目黒区下目黒6丁目 — 学芸大学駅まで1336m。1Rは78,500円、1Kは72,600円。20番地は2,963円/㎡で、町の相場3,576円/㎡より17.1%安い水準です(成約6件・2棟)
  • 世田谷区下馬1丁目 — 学芸大学駅まで1398m。1Rは75,300円、1Kは79,700円。27番地は3,017円/㎡で、町の相場3,731円/㎡より19.2%安く決まっています(成約19件・4棟)
  • 目黒区上目黒2丁目 — 学芸大学駅まで1828m、中目黒駅まで481m、祐天寺駅まで859m。中目黒駅を主軸に使う町ですが、この町の32番地は2,345円/㎡で、町の相場4,150円/㎡より43.5%安く決まっており、これは今回扱った範囲で最大の開きです(成約7件・2棟)

上目黒2丁目の32番地のように、駅からの距離という一本の軸だけを見ていると絶対に浮かんでこない場所が、番地まで下りると現れます。通勤に使う駅を2つ持てる町を候補に含めておくと、この種の場所に出会う確率が上がります。

まとめ

学芸大学駅の徒歩圏で一人暮らしの部屋を探すとき、順番はこうなります。まず1R・1K・1DKの実際の成約価格で町の見当をつけ、次に候補の町の中で番地ごとの差を確認する。町の平均だけで判断すると、目黒本町2丁目22番地のように、町の相場より33.2%安く決まっている場所を丸ごと見落とします。

私たちは、募集中の希望価格ではなく、実際に契約が成立した価格を番地の単位まで集計し続けています。個別のご相談を受け付ける窓口は現在準備中です。準備が整い次第、このサイトでお知らせします。

目黒区鷹番2丁目 家賃相場の推移(㎡単価)
鷹番2丁目 家賃相場の推移(㎡単価)
目黒区鷹番3丁目 家賃相場の推移(㎡単価)
鷹番3丁目 家賃相場の推移(㎡単価)
目黒区五本木3丁目 家賃相場の推移(㎡単価)
五本木3丁目 家賃相場の推移(㎡単価)
目黒区鷹番1丁目 家賃相場の推移(㎡単価)
鷹番1丁目 家賃相場の推移(㎡単価)

本記事で用いた一次データの出典

  • 駅からの距離: OSM道路網(OpenStreetMap)+ダイクストラ法にもとづく道路距離(全記事共通の算出方式に統一)

この記事を書いた人

Yohei

宅地建物取引士 / 現役の賃貸物件オーナー(大家)

中目黒・祐天寺・学芸大学・池尻大橋・三宿・三軒茶屋のエリアに特化。現役の賃貸物件オーナーとして活動し、宅地建物取引士でもある。当サイトでは、エリアの番地ごとに賃貸物件情報をまとめ、賃貸物件ごとに「平均㎡単価・主要駅からの距離・築年数」の情報を集計し発信しています。

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