学芸大学で仲介手数料無料を探す人へ、結論から
仲介手数料が無料になる差は、契約したその一度だけ効きます。これに対して、同じ学芸大学駅の徒歩圏でも番地によって成約価格に1割から4割の開きがあり、こちらの差は住んでいるあいだ毎月効き続けます。探す順番は、番地が先です。
最初に正直にお伝えします。発掘不動産は、どの物件が仲介手数料無料かを示すデータを持っていません。この記事に「仲介手数料無料の物件一覧」は出てきませんし、無いものを推測で書くつもりもありません。
仲介手数料そのものの決まりは単純です。宅地建物取引業法では、賃貸の仲介にあたって不動産会社が貸主と借主の双方から受け取れる報酬の合計は、家賃1ヶ月分と消費税が上限と定められています。「仲介手数料無料」と表示されている物件は、その上限のうち借主が払う分をゼロにして、貸主側が負担する形にしているケースが中心です。つまり、無料かどうかは物件そのものの性質ではなく、貸主と不動産会社のあいだの取り決めで決まります。
一方で、私たちが持っているのは別の種類のデータです。実際に契約が成立した価格を、番地の単位まで分解した記録です。例えば学芸大学駅まで262mの目黒区鷹番2丁目では、町全体の成約単価が4012円/m2であるのに対し、5番地だけは3348円/m2でした。町の相場より16.6%安く、この数字は成約12件・5棟分の実績から出ています。
一度きりの仲介手数料と、毎月続く16.6%。どちらを先に調べるべきかは、はっきりしています。
学芸大学駅の徒歩圏は、駅を出た瞬間から住宅地が始まる
学芸大学駅の徒歩圏は、目黒区鷹番2丁目(262m)と鷹番3丁目(331m)を核に、五本木3丁目(451m)、中央町2丁目(480m)、中央町1丁目(578m)、鷹番1丁目(587m)へと広がります。駅を出てすぐ住宅地に入る構造で、距離の刻みが細かいのがこのエリアの特徴です。
宅建士として現地を歩いていて実感するのは、「駅前」と「住宅地」の境目が曖昧なことです。渋谷や中目黒のように商業エリアが帯状に続くのではなく、駅の周辺だけが賑やかで、そこから数分歩けばもう静かな街並みになります。鷹番2丁目と鷹番3丁目のように駅まで262m・331mという至近の町でも、住宅としての落ち着きが保たれているのは、この構造のおかげです。
もうひとつ、この徒歩圏で見落とされがちなのが2駅使える町があるという点です。
- 目黒区鷹番2丁目は、学芸大学駅まで262m、祐天寺駅まで1213m
- 目黒区中央町2丁目は、学芸大学駅まで480m、祐天寺駅まで878m
- 目黒区五本木3丁目は、学芸大学駅まで451m、祐天寺駅まで1111m
- 目黒区五本木2丁目は、学芸大学駅まで672m、中目黒駅まで1689m
物件検索サイトの「学芸大学駅」という絞り込みでは、この二つ目の路線が使えるという事実は見えてきません。中央町2丁目の878mや五本木2丁目の1689mは、日常的に使うかどうかは人によりますが、少なくとも「学芸大学駅しか選択肢がない町」ではないことを示しています。
現役大家として太鼓判を押せるのは、学芸大学の需要の底堅さです
学芸大学エリアの成約価格は、この5年で上昇している町が目立ちます。目黒区鷹番1丁目は2021年から2026年の5年間で+26.6%、鷹番3丁目は+21.8%、目黒本町2丁目は+20.9%。値付けが強気になっても契約が成立し続けているという意味で、需要が細っていないエリアです。
「仲介手数料無料の物件が少ないのではないか」という不安は、実はこの数字の裏返しでもあります。借り手がつきやすい町では、貸主側が仲介手数料を負担してまで空室を埋める必要が小さくなります。学芸大学は、まさにそういう町です。
だからこそ、大家の側から見た正直な助言はこうなります。この街では、仲介手数料の有無で物件を絞り込むと、選べる母数が一気に減ります。それよりも、どの番地の、どの間取りを選ぶかで詰めた方が、結果的に支払う総額は小さくなります。
もう一点、公平のために上昇していない町も書いておきます。目黒区柿の木坂2丁目(学芸大学駅まで1378m)は5年間で-1.9%、目黒区中目黒3丁目は2020年から2025年の5年間で-3.4%でした。エリア全体が一様に上がっているわけではありません。
町ごとの幅も相当なものです。1Rの成約価格で見ると、目黒区南2丁目(学芸大学駅まで1789m)は61600円、目黒区鷹番1丁目(587m)は96600円。同じ学芸大学駅の徒歩圏という括りの中に、これだけの開きがあります。
学芸大学エリアの「実際の成約価格」で見る家賃比較




以下の金額は、募集時の希望価格ではなく、実際に契約が成立した価格の平均です。SUUMOやHOME’Sなどのポータルサイトに並ぶのは現在募集中の希望価格で、交渉の余地があり、その金額で成約するとは限りません。私たちが出しているのは、成立した契約の記録そのものです。
学芸大学駅に近い町の、間取り別の成約価格
| 町 | 学芸大学駅まで | 1R | 1K | 1DK | 1LDK |
|---|---|---|---|---|---|
| 目黒区鷹番2丁目 | 262m | 84700円 | 90900円 | 102700円 | 146100円 |
| 目黒区鷹番3丁目 | 331m | 83900円 | 95900円 | 108100円 | 156900円 |
| 目黒区五本木3丁目 | 451m | 79300円 | 79300円 | 85300円 | 136700円 |
| 目黒区中央町2丁目 | 480m | 74900円 | 81700円 | 97200円 | 148900円 |
| 目黒区中央町1丁目 | 578m | 78900円 | 76300円 | 93600円 | 140700円 |
| 目黒区鷹番1丁目 | 587m | 96600円 | 90400円 | 105900円 | 158800円 |
| 目黒区五本木2丁目 | 672m | 74500円 | 77400円 | 95200円 | 137400円 |
駅から遠い方が安い、という単純な並びになっていない点に注目してください。1Kで見ると、駅まで587mの鷹番1丁目が90400円である一方、より駅に近い578mの中央町1丁目は76300円です。距離だけで家賃が決まっているわけではありません。
同じ町の中でも、番地で成約単価がこれだけ違う
そして、町という単位をさらに割ると、差はもっとはっきりします。以下は2022年以降の成約実績から集計した、番地ごとの平方メートル単価です。
| 町・番地 | 番地の成約単価 | 町全体の成約単価 | 町の相場との差 | 成約実績 |
|---|---|---|---|---|
| 目黒区中央町2丁目23番地 | 2814円/m2 | 3665円/m2 | 23.2%安い | 6件・3棟 |
| 目黒区五本木2丁目29番地 | 3015円/m2 | 3750円/m2 | 19.6%安い | 6件・4棟 |
| 目黒区五本木2丁目22番地 | 3107円/m2 | 3750円/m2 | 17.1%安い | 8件・2棟 |
| 目黒区鷹番2丁目5番地 | 3348円/m2 | 4012円/m2 | 16.6%安い | 12件・5棟 |
| 目黒区中央町1丁目15番地 | 3075円/m2 | 3632円/m2 | 15.3%安い | 22件・2棟 |
| 目黒区五本木3丁目3番地 | 3002円/m2 | 3500円/m2 | 14.2%安い | 6件・2棟 |
| 目黒区鷹番3丁目4番地 | 3488円/m2 | 4007円/m2 | 13.0%安い | 11件・3棟 |
| 目黒区中央町2丁目30番地 | 3250円/m2 | 3665円/m2 | 11.3%安い | 21件・5棟 |
中央町2丁目を見てください。同じ丁目の中で、23番地は町の相場より23.2%安く、30番地は11.3%安い。ひとつの町の内側に、これだけ性格の違う場所が同居しています。
正直に書いておくと、なぜこの番地が安いのか、その構造的な理由は現時点で特定できていません。建物の築年数なのか、道路付けなのか、日当たりなのか、あるいは複数の要因が重なっているのか。憶測で理由をつけることはしません。今わかっているのは「事実として番地の間にこれだけの差がある」ということだけで、その理由は今後掘り下げていきます。
なお目黒区鷹番1丁目についても番地の集計を試みましたが、該当した番地はいずれも成約が1棟に集中していて、番地の特徴として語れる状態ではありませんでした。データが足りない場所については、無理に語りません。
少し視点を変えて、初期費用ではなく「住んでいるあいだの総額」で探す
仲介手数料を抑えたい理由が「入居にかかるお金を減らしたい」ことなら、駅からの距離を少しだけ伸ばした先に、はるかに大きな割安が眠っています。学芸大学駅から離れた町ほど、番地ごとの成約単価の落差は大きくなり、最大で町の相場より33.2%安い番地があります。
| 町・番地 | 学芸大学駅まで | 番地の成約単価 | 町全体の成約単価 | 町の相場との差 | 成約実績 |
|---|---|---|---|---|---|
| 目黒区目黒本町2丁目22番地 | 954m | 2701円/m2 | 4042円/m2 | 33.2%安い | 11件・5棟 |
| 目黒区目黒本町2丁目3番地 | 954m | 2778円/m2 | 4042円/m2 | 31.3%安い | 18件・2棟 |
| 世田谷区下馬5丁目9番地 | 920m | 2410円/m2 | 3400円/m2 | 29.1%安い | 9件・2棟 |
| 目黒区目黒本町5丁目3番地 | 1859m | 2727円/m2 | 3783円/m2 | 27.9%安い | 5件・2棟 |
| 目黒区目黒本町6丁目1番地 | 1674m | 2617円/m2 | 3606円/m2 | 27.4%安い | 8件・2棟 |
| 目黒区柿の木坂1丁目28番地 | 1520m | 2900円/m2 | 3742円/m2 | 22.5%安い | 8件・2棟 |
目黒本町2丁目は、学芸大学駅まで954mです。駅至近の鷹番2丁目(262m)と比べれば歩く時間は増えますが、その代わりに町の相場より33.2%安い番地が二つあります。しかも22番地は成約11件・5棟、3番地は成約18件・2棟と、まぐれの1件ではありません。
さらに視野を広げると、学芸大学駅からは1828mある目黒区上目黒2丁目に、町の相場4150円/m2に対して2345円/m2、43.5%安いという32番地があります(成約7件・2棟)。この町は中目黒駅まで481mなので、もはや学芸大学の物件として探す人の視界には入りませんが、「番地で探す」という視点で見れば、私たちが把握している中で最も落差の大きい場所のひとつです。
ここでお伝えしたいのは、町名や丁目だけで絞り込む探し方をしている限り、こうした選択肢は最後まで画面に出てこない、ということです。仲介手数料無料という条件で絞り込むのも同じで、条件の掛け算で母数を削るほど、本当に安い場所は視界から消えていきます。
今後について
発掘不動産では、実際に契約が成立した価格を番地の単位まで分解したデータを、対象エリアを広げながら整備しています。番地ごとの安さの理由の解明、そして物件そのもののご相談にお応えする窓口については、現在準備中です。整い次第、このサイトでお知らせします。

