学芸大学の「おしゃれな賃貸」、結論から
結論から書きます。発掘不動産は、物件の意匠や築年数を示すデータをまだ持っていません。そのため「この町にデザイン性の高い物件が多い」とは書きません。代わりに出せるのは、同じ町の中でも番地によって成約単価が10.6%から43.5%まで違うという実測データです。
内装や設備にこだわって部屋を選ぶと、条件を1段上げるたびに毎月の支払いが増えます。ここで多くの人が「エリアを諦めるか、条件を諦めるか」の二択に入りますが、実際にはもう1本、住所の側で調整するという道があります。学芸大学駅の徒歩圏は、鷹番2丁目(学芸大学駅まで262m)を最寄りに、鷹番3丁目(331m)・五本木3丁目(451m)・中央町2丁目(480m)と住宅地が連なっています。その中の「どの町か」ではなく「どの番地か」で、契約が成立した価格の水準が変わります。
なお、デザイン性そのものを示す一次データ(築年数・内装仕様・意匠の評価)は現時点で持っていないため、この記事では「おしゃれな物件がここにある」という断定はしません。書けるのは、その条件に予算を回すための価格の話です。
現地の宅建士が見ている、学芸大学という街のかたち
学芸大学駅の周辺は、駅からの距離が短い町から順に住宅地が段階的に広がる構造です。鷹番2丁目が262m、鷹番3丁目が331m、五本木3丁目が451m、中央町2丁目が480m、中央町1丁目が578m、鷹番1丁目が587mと続き、駅から離れるにつれて候補に入る町の数が増えていきます。
住まい探しの実務で効いてくるのは、この街が単独の駅だけで完結していない点です。祐天寺2丁目は祐天寺駅まで280m、学芸大学駅まで1076mという位置にあり、上目黒4丁目は祐天寺駅まで535m、学芸大学駅まで1467m。上目黒2丁目に至っては中目黒駅まで481mで、学芸大学駅までは1828mです。「学芸大学で探す」と決めて検索を始めた人が、実際には別の駅を主に使う町を候補に入れている、という状況は普通に起こります。
- 学芸大学駅に近い町: 鷹番2丁目(262m)、鷹番3丁目(331m)、五本木3丁目(451m)
- 2駅を使い分けられる町: 祐天寺2丁目(祐天寺駅まで280m/学芸大学駅まで1076m)、中目黒5丁目(祐天寺駅まで904m/学芸大学駅まで1422m)
- 徒歩圏の外周にあたる町: 目黒本町5丁目(1859m)、野沢4丁目(1912m)
これは事実としての距離の話です。解釈を加えるなら、条件にこだわった部屋を探すほど候補の母数が要るため、駅からの距離を1段譲れる人ほど選択肢が増えます。
現役大家として見ている、学芸大学エリアのこの5年
同じ駅の徒歩圏でも、成約価格の5年間の動きは町ごとに方向が揃っていません。鷹番1丁目は2021年から2026年で+26.6%、下馬6丁目は+30.9%と上げている一方、中央町2丁目は+1.8%、柿の木坂2丁目は-1.9%です。
上昇幅が大きい町と、ほぼ横ばいの町を並べると、この街が一様ではないことが分かります。
- 上昇が大きい町: 目黒本町4丁目(+42.1%)、碑文谷4丁目(+40.7%)、下馬6丁目(+30.9%)、目黒本町1丁目(+28.4%)
- 横ばいに近い町: 中央町2丁目(+1.8%)、平町1丁目(+4.1%)、中町1丁目(+4.3%)、目黒本町3丁目(+4.4%)
- 下げている町: 柿の木坂2丁目(-1.9%)、中目黒3丁目(2020年から2025年で-3.4%)
ここからは解釈です。設備や内装にこだわった部屋を長く借りるつもりなら、契約時点の金額だけでなく、その町が5年でどう動いてきたかも見ておく価値があります。上げ続けている町と、横ばいで推移してきた町とでは、住み続けたときの前提が違います。数字は上のとおりで、どちらを選ぶかは暮らし方次第です。
学芸大学の「実際の成約価格」で見る家賃比較




この表の金額は、募集価格ではありません。実際に契約が成立した価格の平均です。ポータルサイトに並ぶのは現在募集中の希望価格で、交渉の余地があり、その金額で成約するとは限りません。ここに出すのは、成約した実績そのものの平均値です。
| 町 | 学芸大学駅まで | 1R | 1K | 1LDK |
|---|---|---|---|---|
| 目黒区鷹番2丁目 | 262m | 84,700円 | 90,900円 | 146,100円 |
| 目黒区鷹番3丁目 | 331m | 83,900円 | 95,900円 | 156,900円 |
| 目黒区五本木3丁目 | 451m | 79,300円 | 79,300円 | 136,700円 |
| 目黒区中央町2丁目 | 480m | 74,900円 | 81,700円 | 148,900円 |
| 目黒区中央町1丁目 | 578m | 78,900円 | 76,300円 | 140,700円 |
| 目黒区五本木2丁目 | 672m | 74,500円 | 77,400円 | 137,400円 |
| 世田谷区下馬6丁目 | 803m | 81,200円 | 88,400円 | 156,800円 |
| 目黒区目黒本町2丁目 | 954m | 97,100円 | 81,000円 | 149,700円 |
| 目黒区中町2丁目 | 968m | 79,400円 | 80,200円 | 146,100円 |
同じ1LDKでも、五本木3丁目の136,700円から鷹番3丁目の156,900円まで幅があります。ただし、この記事で本当に見てほしいのは町どうしの比較ではありません。同じ町の内側にある差です。
たとえば鷹番2丁目は、町全体の成約単価が4,012円/m2(2022年以降)であるのに対し、5番地は3,348円/m2。町の水準より16.6%低い金額で、成約12件・5棟分の記録から出ています。鷹番3丁目でも、町の4,007円/m2に対して4番地は3,488円/m2(13.0%低い、成約11件・3棟)。中央町2丁目では、町の3,665円/m2に対して23番地が2,814円/m2(23.2%低い、成約6件・3棟)、30番地が3,250円/m2(11.3%低い、成約21件・5棟)です。
なぜその番地が安いのか、構造的な理由はまだ特定できていません。ここで理由を推測して書くことはしません。今の時点で言えるのは「事実として、同じ町の中にこれだけの差がある」という一点で、その背景は今後掘り下げていきます。
視点を変えて、「おしゃれ」に回す予算を住所側でつくる
条件にこだわった部屋を探すとき、予算は間取りや設備からだけでなく、住所の選び方からもつくれます。学芸大学駅の徒歩圏には、町の成約単価より20%以上低い水準で契約が成立している番地が複数あります。最大は上目黒2丁目32番地で、町の4,150円/m2に対して2,345円/m2、43.5%低い水準です。
| 町・番地 | 学芸大学駅まで | 番地の成約単価 | 町の成約単価 | 町との差 | サンプル |
|---|---|---|---|---|---|
| 目黒区上目黒2丁目32番地 | 1828m | 2,345円/m2 | 4,150円/m2 | 43.5%低い | 成約7件・2棟 |
| 目黒区目黒本町2丁目22番地 | 954m | 2,701円/m2 | 4,042円/m2 | 33.2%低い | 成約11件・5棟 |
| 世田谷区下馬5丁目9番地 | 920m | 2,410円/m2 | 3,400円/m2 | 29.1%低い | 成約9件・2棟 |
| 目黒区目黒本町5丁目3番地 | 1859m | 2,727円/m2 | 3,783円/m2 | 27.9%低い | 成約5件・2棟 |
| 目黒区目黒本町6丁目1番地 | 1674m | 2,617円/m2 | 3,606円/m2 | 27.4%低い | 成約8件・2棟 |
| 目黒区中央町2丁目23番地 | 480m | 2,814円/m2 | 3,665円/m2 | 23.2%低い | 成約6件・3棟 |
注目したいのは最終行です。中央町2丁目は学芸大学駅まで480mという近さで、駅からの近さを一切犠牲にしていません。それでも、町の水準より23.2%低い金額で成約している番地が実在します。
町名や丁目までしか指定できない検索では、この差は画面に出てきません。ポータルサイトの絞り込みは町や丁目、駅からの時間で区切られていて、同じ町の内側にある単価の段差はそこに現れないためです。私たちが実際の契約価格の記録を番地の粒度まで分解しているのは、この段差だけが、条件にこだわりたい人の予算を実際に動かせる情報だからです。
同じ支払額のまま、内装や設備の条件を1段上げられるかどうか。その分岐は、間取りの選び方より先に、どの番地を候補に入れるかで決まっている場合があります。ここで挙げた番地がなぜ安いのかは、繰り返しになりますが現時点では特定できていません。分かり次第、この記事に追記していきます。
なお、個別物件のご相談窓口は現在準備中です。番地単位の成約価格データは今後も更新していきますので、学芸大学エリアで探している方は、町ではなく番地で見る視点を持ち帰っていただければと思います。

